"元"池田町地域おこし協力隊~kuro隊員のその後~

平成31年3月に池田町地域おこし協力隊を卒業したkuro隊員の"その後"をダラダラ綴ります

【マンガ#3】さよなら、ハイスクール~時々繰り広げられる議論がアツい~

こんにちは。

北海道十勝地方池田町地域おこし協力隊、残り任期は半年のkuro隊員です。

さよなら、ハイスクール

たまにAmazon kindleでマンガを読んでおります。

最近はもっぱら電子書籍の手軽さにハマっており、紙の本はしばらく読んでおりません。月額980円のkindle unlimitedのお得感と言ったらもう。

マンガや雑誌なら2冊、実用書なら1冊読めば元とれるので、ここ1年くらいゆっくり読書できていないkuro隊員でも損はしておりません。

 

スクールカーストをひっくり返すマンガが面白いって話!

前回のマンガ↓

www.kuroroman.com

 

概要

毎度のことですがザックリとしか書きませんので、詳しく知りたい人は自分で調べてみて下さいませ!

  • タイトル:さよなら、ハイスクール
  • 著者:森もり子
  • 掲載誌:チャンピオンクロス
  • 巻数:全3巻

短いので一気に読めます。

私は寝る前に1冊読んだところ、続きが気になって一気読みしました。

あらすじ

スクールカーストの最底辺として高校生活を送る朝倉。

半ば押し付けられる形で文化祭実行委員となったことをきっかけに、"この教室の空気(スクールカースト)を壊してやる"と思い立つ。

一発逆転の策としてカースト上位の伊藤マユミと付き合うことに成功し、邪魔者を退場に追い込み、徐々にクラスの空気は壊れていく。

見事に目的を果たしたかに思えたが...。

 

登場人物

朝倉

主人公。

自らを"スクールカースト最底辺"と評する高校生。

直接的ないじめこそ受けていないが、"文化祭実行委員"という面倒な役割に真っ先に推薦されることからも、クラス内での立場は低いと伺える。

クラスのカーストを冷静に把握している一方、破滅願望めいた想いから衝動的に伊藤マユミに告白する。

計算通りに事を進めていくが、実はそんなに展望を描けていない。

高校卒業後は浪人し、予備校に通っている。

伊藤マユミ

ヒロイン...というか第2の主人公。

同じクラスの女子からも"住んでる世界が違う"と言われるカースト上位の美少女。文化祭実行委員に立候補する。

朝倉自身も驚くほどあっさりと告白を受け入れて朝倉と交際を始める。

"なぜ朝倉と付き合っているのか?"と問われても、どこか含みを感じさせる態度でのらりくらりとかわしているが、その真意は朝倉の思考を超えるものだった。

常識から外れていたとしても"つまらないこと"が嫌いで"面白い"ことが好き。

高校1年生の時に3年生の彼氏がいた。

卒業後の進路は不明。

前田

カースト上位の男子。サッカー部。

強引と思われながらも、候補者の現れなかった文化祭実行委員を手早く決めるなど"結果的にアイツらがクラスをまとめている"と担任からは評価されている。

伊藤マユミにフラれたことがあり、朝倉とマユミが付き合うことに一番驚いたであろう人物。

誰よりも早く朝倉とマユミの真意を知るが、彼らの思惑通り、一時はクラスから姿を消す状況に追い込まれる。

卒業後は九州の大学に進学しサッカーを続けており、彼女もできた。

古賀タクヤ

カースト上位の男子。何かの運動部に所属している。

前田同様、クラスの仕切り役として存在感のある人物。

同じくカースト上位のカナと付き合っているがケンカすることが多く、朝倉とマユミにつけ込まれる。

行動を共にすることが増えた朝倉に対し普通に友達として接したり、ある出来事からクラス委員長に攻撃するなど、良くも悪くも素直な性格と見える。

卒業後はカナと同じ大学へ進学(文学部)。

若松カナ

カースト上位の女子。タクヤと付き合っている。

感情的であまり賢くはなさそうに見えるが、朝倉と付き合い始めたマユミに論理的に問いかけたり、実は医者を目指している。

朝倉とマユミの策略によりタクヤと別れ、一時はクラスでの居心地を悪く感じることとなる。

卒業後はタクヤと同じ大学へ進学(医学部)。

高田

朝倉同様にカースト最底辺の女子。科学部に所属。

自らを傍観者と決め込んで、高校生活が何事もなく過ぎればいいと考えていたが、朝倉の起こすクラスの変化に刺激を受け、いくつか思い切った行動を取るようになる。

卒業後は都内の専門学校へ通い、恋人と同棲生活を送っている。

川村

カーストに属さないと評される男子。

音楽でメジャーデビューすることが決まっており、文化祭の月に退学予定。

その特異な立場や思考をマユミに利用され、依頼された"ある役割"を見事に演じ切るが、直後に裏切られる。

一矢報いるために全てを暴露し、クラスの状況を一変させた。

退学後はアーティストとして成功を収めているようである。

岩崎先生

朝倉たちの担任。

一見すると、どこにでもいるやる気の無い教師にも見えるが、生徒たちの青春に対して並々ならぬ想いと独自の価値観を抱いている。

方向性は違っても、ある意味で理屈の通った理論でマユミに"面白い"と言わしめる。

文化祭の事件後に教師を辞め、その後はラーメン屋台を営んでいる。

 

名言とともに見所紹介

1巻

朝倉

「今日の委員決めでもわかっただろ!?こんな空気に耐えるのはもうまっぴらなんだよ!だから今!俺は戦いを挑もうと思う!」

文化祭委員を押し付けられ、とばっちりで昼食のパンを潰され、スクールカーストをぶっ壊すことを決意した朝倉。

 

朝倉

「イケてる伊藤とイケてない俺との恋人関係。システムの構造上おおよそ起こりえない特異的な状況を無理矢理作り出すことで、システムを混乱させ困惑させ、そして破壊する!」

カースト上位の女子と付き合うことが、クラスの空気とシステムを覆す手段であると力説する朝倉。

その後は高田に冷静に否定される。

 

朝倉

「このまま何も変わらないならいっそ全てを滅茶苦茶にして、全部終わらせてしまいたい...そう思ったことはないか?」

高田

「無い...とは言えないかな」

実際は宣言を撤回するヒマが無かっただけだが、マユミに告白し付き合い始めた朝倉の胸中。

スクールカーストが覆せないなら、いっそマユミにフラれることで自らの手で青春を終わらせようとした朝倉だが、なぜかマユミはOKを出す。

 

マユミ

「(前略)正直私はままならない青春の痛みを「童貞であること」に集約させて象徴付けしていく物語にうんざりしているんだよね。(中略)朝倉くんのコンプレックスだって多分もっと別の所にありそうだし、それを「童貞」という記号で表すのは単純につまんないよ」

初デート中に童貞について議論する朝倉とマユミ。

この語り口からも、マユミが変わり者である匂いがプンプン漂っている。

 

2巻

高田

「(ときには狂言回しとして、また時には透明な目撃者として、この物語に付き合い続けてきた私が、観察者ではなく参加者として、傍観者ではなく当事者として、ついにこの物語に介入するのだ)あっ朝倉ァ!!オイッ!!」

カースト上位に入り込み現状に満足している朝倉に対して、高田が喝を入れる。

この喝は一見失敗に終わったかと思われたが、朝倉とマユミにしっかり響いていた。

今まで傍観者を決め込んでいた立場から、急に当事者として入り込むのはけっこう勇気がいると思う。

 

朝倉

(そう!恋愛だけじゃない!こいつらは学校で起こる全ての出来事を!授業も行事もクラスメイトの感情さえも!ただ自らの「青春」のために利用して消費してきたんだ!(中略)俺が壊したかったもの。それはこいつらの薄ら寒い「青春」の物語だ!!)

ストーリー上の大きなターニングポイント。

カースト上位グループ(マユミ、前田、タクヤ、カナ)と花火大会に来たものの、心から馴染めずに単独行動する朝倉。

そこに現れた前田に"自分はマユミにフラれたけど、お前が幸せにしてやってくれ"的な話を聞かされたことで、見失っていた目的を取り戻す。

 

前田

「言ってみなきゃ...まだ分かんねえだろ...」

朝倉

「分かるさ。そもそも言えないだろ?伊藤から拒絶される勇気はお前にはないはずだ」

前田

「それは...」

朝倉

「勝ち目のない戦いに挑めるほど、お前は負け慣れてないだろ?」

朝倉の狙いをマユミにバラそうとする前田を、見事に言い負かす朝倉。

今まで抑えつけられていた立場から逆転を果たした朝倉だからこそ言えた一言。

行動した者勝ち。結果が伴えば尚更。

 

マユミ

「私さぁ。つまんないのって嫌なんだよね。だってつまんないのって、なんていうか、つまんないじゃん?」

 

前田

「面白いとかそういうことじゃなくて...こいつ(朝倉)はお前のことが好きじゃないんだぞ!?」

マユミ

「ね!超面白い!すごい興奮する!」

前田

「....そんなの...間違ってるよ...」

マユミ

「うん知ってる」

 

マユミ

「朝倉くん!クラスが壊れるところ私も見たい!私も一緒にクラスを滅茶苦茶にしたい!」

朝倉の前田のやり取りを全て聞き、朝倉の企みを知った上で、それを面白いと言うマユミ。この瞬間のマユミの表情はかなりぶっ飛んでいる。

 

 

朝倉

(教室の外に自分の世界があって、そこに飛び込む勇気と才能があれば、この教室で自分や他人がどこに立っているかなんて、取るに足らない事柄だろう)

文化祭のステージの件で、躊躇なくマユミに依頼する川村を見た朝倉の感想。

スクールカーストに属さない一匹狼でいられる理由を見出すが、それは稀な例だと気付く。

 

3巻

岩崎

「いいか?俺は生徒の青春を見るのが生きがいなんだよ。(中略)クラスみんなの青春を正しく導くためなら、一人や二人の生徒の青春などゴミ箱に捨ててやるよ!」

 

岩崎

「青春ってのはそれが終わり、思い出として語られる時になって初めて、ようやく詩的な意味を持ち始めるんだ!(中略)卒業式のその瞬間。俺は俺の涙によって、俺がこの手で導いた生徒たちの青春にピリオドを打つ!そのとき初めて、青春はお前たちのものとなるんだよ」

普通の教師かと思われていた岩崎が青春論を熱弁。

クラスの秩序を保つためなら、テストの点数改竄も辞さないとの発言から繰り広げられた不意打ち的な展開。

文字だけで見ると熱血教師の言葉のようだが、その確信に満ちた話ぶりからは、ある種の狂気を感じずにはいられない。

 

川村

「目標や目的...理由や動機...そんなものをありがたがって生きるなんてつまらない。目指すべきゴールがどこであろうと、そこを目指す理由がなんであろうと...そこへ至る道程で巻き起こされる出来事が面白けりゃそれでいいもんなぁ」

マユミ

「そんな私が...いや私たちが。いつも欲しているのは強烈に面白いドラマでしょ?」

カースト外の男・川村に、これまでクラスで起きた異変は自分たちの仕業だったと打ち明ける朝倉とマユミ。

川村は自分と似ていると話すマユミは、計画の邪魔となる岩崎を消してほしいと申し出る。

 

川村

「映画かドラマか漫画から、聞こえのいい言葉を探してメモって咀嚼もせずに吐き出してんだろ?映画もドラマも漫画もまがいもん!!フェイクなんだよ!!お前はフェイクの教師なんだよ!!」

マユミの依頼を果たす川村。

 

川村

「自分が何者で人生が何かなんて、いちいち考えていたらいきていけねえだろ」

朝倉

「俺は自分が何者で人生が何かって、考えないと生きていけないよ...」

一時的にはカースト上位に上り詰めたものの本質的には変われなかった朝倉と、根っから一匹狼の川村の違い。

 

朝倉

「僕はね。高校生のとき、青春をぶち壊そうとしたんですよ。(中略)やっぱり僕は、終わらせようとしたんでしょう。青春を。」

高校を卒業後、予備校帰りに屋台のラーメン屋に立ち寄る朝倉。

彼の回想と現在の心境についての語りをもって、物語は終了する。

 

雑感

最初の数ページを読んで抱いた感想は"弱者(朝倉)視点の学園モノかぁ"くらいなもんで、特に期待していなかったのですが。

ライトな絵柄を軽く流すように読み進めていくと、急に展開される登場人物の演説やディベートが

まぁ面白い。

 

おバカキャラっぽいカナが突然ロジカルにマユミを問い詰めたり、朝倉とマユミが童貞がどうのこうので議論したり、朝倉が前田に全てをぶつける場面だったり、担任の岩崎が独自の青春論を展開したり。

えっ急にそんな深い議論始めちゃうの?みたいな意表を突かれる面白さ。

 

"最底辺から脱出したい"という当たり前の感情と破滅願望から、非現実的なアイデアを敢行した朝倉と、"常識的には間違ってるのは知ってるけど、私はそれが面白いと思う"的なマユミの価値観が、何ともうまくマッチしているのです。

 

また、スクールカースト上位と下位、それぞれが抱くであろう感情も良く描かれているように感じました。

上位「俺らはお前らに直接なんもしてねぇじゃん」

下位「お前らは無自覚で俺らに犠牲を強いている」

みたいなね。

 

あとは伏線の描かれ方がシンプル。ラジカセとかバルーンとか。

変に入り組んでないので、ある程度予想通りの展開で進んでいく部分もあったけど、それはそれで読みやすく感じましたねー。

 

クライマックスの文化祭は、シリアスと見せかけて完全にギャグシーン。

登場人物それぞれの想いが勇気ある行動に導き、その一人一人の真剣な姿に胸が熱くなる.....なんてことはなく、シュール過ぎてゲラゲラ笑えます。必見。

 

はい、普通に面白かったです。

全3巻ってのも短くてよい。

 

最後に

マンガシリーズ第3弾でした。

kindle unlimited、個人的にはめっちゃコスパいいなぁと思います。一つの作品のためにお金払うのは抵抗ありますが、定額&低額なので気軽に読み始めて、面白くなければ途中で止められるのがいい。そして本そのものが場所を取らないのもいい。

気が向いたらお試し下さいませー。

 

ではまた(^O^)/