こんにちは。
北海道十勝地方池田町地域おこし協力隊、首肩腰が調子悪いkuro隊員です。
前後の名盤に埋もれがちな名盤
トゥートゥートゥ トゥートゥートゥトゥトゥトゥ
ルール破っても まあ まあ マナーは守るぜ
誰もがポケットの中に 孤独を隠しもっている
いらないものばかり 欲しがってしまった
くり返し くり返し くり返し うたう
前回の記事(1年近く前)の書き出しを歌詞の引用で始めたので、それに倣って。シリーズ物は統一感が大事な気がする今日この頃。
どの曲のどの歌詞を一部だけ切り取っても、そのメロディーや演奏が瞬時に蘇る程に聴き込んだブルーハーツ。
見聞の狭いkuro隊員がマニアックに語れる数少ないものの一つ。リアルタイムでは一切知らんけどね。
2ndアルバム編。
1stアルバムの紹介はコチラ↓
THE BLUE HEARTSの全アルバム紹介Vol2
YOUNG AND PRETTY
メルダック時代の初期3部作に数えられながらも、1stのTHE BLUE HEARTS、3rdのTRAIN-TRAINの間に挟まれているせいか、名曲揃いながら知名度が今一つに感じる1枚。
もったいないなぁ。
以下概要。
- 発売日:1987年11月21日
- 収録時間:43分53秒
- レーベル:メルダック
- チャート最高順位:10位(オリコン)
強烈なインパクトを与えた1stアルバムからわずか半年後に発表された2nd。
期待を裏切らないスピード感と、マーシーボーカル&ヒロトブルースハープ曲、ポップな雰囲気のミディアム曲など、1stとは違う個性を放つ名曲揃い。
特にマーシーの個性炸裂がカッコよすぎてヤバい。ホントにヤバい(語彙力)。
収録曲
1.キスしてほしい
作詞作曲は甲本ヒロト。
1stの先頭を飾った未来は僕等の手の中と比べるとややライトな印象だが、軽快なビートは2曲目以降に続く曲たちの、ひいてはアルバム全体の期待度を押し上げている。
珍しくヒロトがピョンピョン飛び跳ねない。マーシーは気持ちよさそうにコードをストラムしている。
それよりなにより、
河ちゃんのコーラスが欠かせない1曲。
イントロでのファルセットからサビの高音を担当する河ちゃん。オラつきながらベースを弾き、一転してコーラスでは高く優しい声を響かせる河ちゃん。1st収録のNoNoNoばりの活躍である。
ブルーハーツ解散の原因を作ったとされているにしても、やっぱりこの4人だから成り立っていたバンドだなぁと思う。ブルーハーツ後期から現在に至るまでの河ちゃんの生き方は個人的には理解できないけど、この瞬間は間違いなくブルーハーツの欠かせない一員だったんだなぁ、と。
曲は超シンプル。使われているコードはA、F#m、D、Eのみ。ソロも簡単だしストロークもほぼ一定。テンポの速さとF#mにさえ慣れればギター初心者にもすぐに弾ける曲。そしてシンプルなのに、弾けるととても気持ち良い疾走感がある。
なおPVは終始アニメ仕立て。
何と言うか、思いっきり昭和なセンスを感じさせる映像ながら、ヒロトが猿(似合い過ぎ)、マーシーがペンギン(髪型だけ?)、河ちゃんがブタ(胸の☆マークが特徴を捉えている)、梶くんがシロクマ(そのもの)と言うツッコミどころのない配役が見事。
THE BLUE HEARTS 2002 TRIBUTEにてPOTSHOTがカバー。
はちきれそうだ とび出しそうだ
生きているのが すばらしすぎる
もう動けない 朝が来ても
僕はあなたの そばに居るから
雨が降っても 風が吹いても
僕はあなたを 守ってあげる
ストレートな歌詞がヒロトの力強い声で歌いあげられると、ついつい涙腺がぶっ壊れるのである。
2.ロクデナシⅡ(ギター弾きに部屋は無し)
作詞作曲はマーシー。
本家?のロクデナシは有名な割に、意外とⅡとナンバリングされたコチラはあまり知られていない。
動画が見つからず。
もちろんロクデナシも名曲だけど、こっちの方が反骨精神丸出しでツボったりもする。
"人を見た目で判断するな"という言葉がよく使われる以上に、実際には見た目で判断されるのが当たり前...と言うか見た目で判断されても仕方ない場面が多々あるのが普通の社会であって。
ただの想像に過ぎないけど"バンドマンってだけで冷遇されたけど今はロックンロールで成功したぜ!!"的な実体験から生まれた曲なのかなぁと思わせる一曲。
僕の着てる服が気に入らないんだろ
僕のやりたいことが気に入らないんだろ
僕のしゃべりかたが気に入らないんだろ
本当は僕のことが羨ましいんだろ
自分が叶えられなかった理想...ではなくても、しがらみに縛られて生きている人がギター弾きを見ると、なんか攻撃したくなっちゃうんだろうね。
どこかのエライ人 TVでしゃべってる
今の若い人には個性が無さ過ぎる
僕らはそれを見て一同大笑い
個性があればあるで押さえつけるくせに
同意。
どこかのエライ人だけの話じゃなくて、両親でも学校の先生でも同じようなことを言われる場合もある。
そんなら最初から個性不要と教育すりゃいいのにね。 面倒くさいね。
3.スクラップ
作詞作曲はマーシー。
ヒロトが海賊みたいなボーダーTシャツ着ているのが印象的。
まぁとにかく"マーシーらしい一曲”の一言に尽きる。
マイナーキーでちょっとダークでパンクで疾走感のある曲を作らせら、なかなかマーシーの右に出る者はいない。多分。
ギターソロが無いかと見せかけて、曲のラストでこれまた"マーシーらしいソロ"が心地よく響く一曲。
手にしたモノをよく見てみれば 望んだモノと全然違う
しがみつく程価値もない そんなモノならいらないよ
モノ=未来あるいは夢、とでも置き換えてみましょうか。
ソレを手にするために費やした時間は返ってこないけど、価値が無いと気付いて潔く捨てることも必要だよね。
4.ロクデナシ
作詞・作曲はマーシー。
ブルーハーツの曲の中ではTOP10に入る知名度があるのではなかろうか。根拠はないけど。
普通の家庭の普通の価値観の親御さんなら、こどもに聴かせたくない曲かも知れない。根拠はないけど。
初めて聴いたのが中学3年生だか高校1年生だか忘れたけど、この曲は雷のように相当響いたねぇ。受験とか内申点とか、世の中の評価稼ぎシステムに気付いて嫌悪感を抱き始めた頃。
幸か不幸か、結局そのまま大人になってしまったkuro隊員。
劣等生でじゅうぶんだ はみだし者でかまわない
大人に反発する中高生が、いわゆる普通の道を踏み外すきっかけとしてこれ以上ないくらい最適なフレーズ。
5.ロマンチック
作詞・作曲は甲本ヒロト。
メロディーというか符割りがいかにもヒロト。
リンダリンダやTRAIN-TRAINしか知らない全ての人に告ぐ。
パンクロックバンドながらにこんなポワっとした曲を書き、心配になるくらい拙いMCで会場を沸かせ、歌の合間に満面のスマイルとよくわからないけどキュートなダンスをするのがブルーハーツ=ヒロトの魅力なのだよ。
と言っても、この曲はヒロトが以前に所属していた"ザ・コーツ"というバンド時代からの曲。なので"ブルーハーツらしくない曲"という感想があればそれは正しい。
まぁヒロトはザ・コーツからザ・クロマニヨンズまでさほど変わっていないので、疾走感の無いミディアム~スローな曲=ヒロトとマーシーの書く呑気(?)な曲を好きになれるかどうかで、真にブルーハーツの虜になるかどうかが決する。
ああ 何もかも 愛おしい
ああ 抱きしめて やさしくしたい
本当にそんな心境になれたら素敵だよねぇ。
6.ラインを越えて
作詞作曲はマーシー。
マーシーがボーカルをとる最初期の一曲。
こんな声で歌いたい。
マーシーのハスキーボイスがたまらないのはもちろん、歌わないなら歌わないでブルースハープに徹するヒロトがまたたまらない。
満員電車の中 くたびれた顔をして
夕刊フシを読みながら 老いぼれてくのはゴメンだ
夕刊フジを読んだことはなくても、言わんとすることはわかる。
7.チューインガムをかみながら
作詞作曲はマーシー。
今更だけど、このアルバムはマーシー曲が非常に光る。
のびかけた坊主頭にタンクトップという出で立ちのヒロトが少年のよう。
どこか"スクラップ"に似た、大人や社会への反発をストレートにブチまける一曲。
疑問符背中に背負って 僕は毒づいてやるんだ
大人の顔してる人に 僕は毒づいてやるんだ
チューインガムをかみながら 生意気なガキでいてやる
8.遠くまで
作詞作曲はマーシー。
本アルバムのマーシー曲は一貫して反骨精神を感じる曲ばかりだが、後半に進むに連れて内面の不安や弱さを感じさせるように並んでいる。ような気がする。
押しつけられてる 背負わされている
気づかないうちに 目がくらんでいく
僕をほどいてくれないか
うさんくさがられ チェックをいれられ
レッテル貼られて マークをつけられ
僕をほどいてくれないか
人間関係やら仕事の悩みやら、バラバラなはずの問題が絡み合うと非常にストレスを感じる。
それらを"ほどいてくれないか"という言葉のチョイスが好き。
9.星をください
作詞作曲は甲本ヒロト。
動画が無いなぁ。
歌詞も曲も非常にシンプルで、ストレートに良い曲。
なにかのインタビューでヒロトが"東京には願い事をする星が見えないから自分で頑張らないといけない"みたいなことを言っていたけど、その想いがそのまま歌詞になったような感じ。
星が見えますか 星が見えますか
ああ 星が そこから星が見えますか
2番では"星"が"海"に変わる。
都会の空に 星を下さい
とてもきれいな 星を下さい
うん、シンプル。
10.レストラン
作詞作曲は甲本ヒロト。
ロマンチックに続いてゆるい曲。
スカのリズムを淡々と刻むマーシーがクールすぎる一方、Bメロ前でハイテンションに叫ぶヒロト。何度観ても微笑んでしまう。
かつ丼 サラダ 冷ややっこ
お腹いっぱい
レストランというか食堂感がほとばしるメニュー。
明日どこかの交差点で ひきにげされちゃうかも
みんなが笑ってる
なんかシュール。
11.英雄にあこがれて
作詞作曲は甲本ヒロト。
ちょっとひねくれた中高生あたりの心をくすぐるかもしれない名曲。
マーシー作っぽいけど、明るいメロディーで高らかに"宣戦布告"と叫ぶあたりにヒロトを感じる。
余談だけど、"ローリング☆ガールズ"なるTVアニメにてカバーされているらしい。
このアニメがやたらとブルーハーツの楽曲を使用しているようで、オープニング&エンディングはもちろん、挿入から各話のタイトルにも曲名を使用するという徹底っぷり。
エンディングが"月の爆撃機"ってチョイスに確かなブルーハーツ愛を感じる。
おしまれながら死んでゆく 英雄にあこがれ
いばらの道を見つけだし クツをぬぎすてる
12.チェインギャング
作詞作曲はマーシー。
ヒロトとマーシーがいかにイケメンかがわかる動画。
さっきも言ったけど
こんな声で歌いたい。
一部の歌詞に宗教的な問題があるのでは、と発表を躊躇われた曲。
本アルバムの中で反骨精神全開な曲を並べてきたマーシーの、メランコリーな世界がフル放出。
色々な人がカバーしているので、アルバム(カップリング)曲としては知名度が高いほうだろうか。
仮面をつけて生きるのは 息苦しくてしょうがない
どこでもいつも誰とでも 笑顔でなんかいられない
うん、ホントこれ。
一人ぼっちがこわいから ハンパに成長してきた
うん、ホントこれ。
仲間はずれにされることを恐れて、ハンパな努力でハンパに適応してハンパに成長したつもりになっても、ビックリするくらい楽しくない。マジで。
ある程度の年齢になって開き直ることを覚えると、ちっぽけな集団に無理して適応するくらいなら、一人ぼっちで全然かまわないと思えるようになる。
開き直る覚悟を促すきっかけは人それぞれだろうけど、ブルーハーツはきっかけどころか強力な促進剤。劇薬指定。
総評
冒頭に書いたように、1st、3rdの間に埋もれがちな2ndだけど、よく聴いてみれば全っ然引けをとらない名盤。
全アルバム中、マーシーの魅力が最も輝いている1枚ではないかと思えるくらいに尖っている。若き日のマーシーは見た目も声も創り出す曲も、めちゃくちゃ鋭く尖っていたことをヒシヒシと感じる。無論50歳を過ぎた今でもカッコいいけど。
ブルーハーツの魅力はヒロトのめちゃくちゃなパフォーマンスだけじゃなく、相棒であるマーシーの存在感が大きい。時にヒロト以上に異彩を放つ存在感、そりゃもうとてつもなく大きい。鋭さ・危うさ・尖っているあたりの言葉は、この時期のマーシーのためにある言葉だと思っていい。
そう思って聴いてみると、30年も前のアルバムでも未だに衝撃を受けることができる...かもしれない。
ブルーハーツの全アルバムに言えることだけど、死ぬまで聴き続けるであろう1枚。
聴かなきゃ人生損だよ!
最後に
1stの紹介を書いてから1年近く経って、ようやく2ndの記事を書きました。このペースではブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズの全アルバム紹介を完成させる頃には20年くらい経っちゃうという恐怖。
今回も曲に浸りながら書いていたら3日くらいかかったけど、やっぱり好きなことにアレコレ想いを巡らせながら書くのはまぁ楽しいですねぇ。
ではまた(^_^)/~